20


翌日
左から私、きり丸、しんベヱ、乱太郎という並びで寝た。しかし、朝起きると、何故か三人は私のすぐ側で寝ていた。うん、おかしい。きり丸は近くて当たり前だけど、なんでしんベヱと乱太郎まで近くにいるの。でも、寝顔が幸せそうだったので、起こすのはやめた。



「着替えよ」



重い体を起こして、新しい着物に手をつける。寝間着を脱ぎ、黒いTシャツを着て短パンを穿く。そして、その上から着物を着つける。着物を着終わったら、次は髪の毛だ。鏡で自分の顔を見ると、寝癖はあまり無かった。となると、櫛でとかすだけ。それから、マスクも付けなきゃ。



「よし、オッケーイ」



身支度終了。布団もしまった。携帯で時間を確認すると、7時だった。お、私にしてはだいぶ早い。ふと、まだ幸せそうに寝ている三人を見る。そういえば昨日、乱太郎が、「明日は休みだからゆっくりできるね!」とか言ってたな。そうか。今日はみんな休みなのか。……やること無いし、秀作の手伝いでもしてこようかな。




 ***




きり丸達の部屋を出てうろちょろする。そういえば私、秀作の部屋も事務室も知らないじゃん。……浅はかな考えでございました。「仕方ない、部屋に戻るか」とため息を吐いて、Uターンする。周りに人がいれば頑張って聞けるけど、見渡しても誰もいない。なんでかな。この時間帯なら誰か一人くらい居てもおかしくはなさそうだけど。



「……ああ、そっか。どこかで監視されてるかもしれないんだ」



生徒とはいえ、相手は忍だし。きっと今もどこかで私のことを監視しているはずだ。でも、怪しい行動をとらなきゃ何もしてこないだろう。なら、私は普通にしてよう。……監視されてるって意識すると、どうしても普通が分からなくなる。



「天道、おはよう」



声をかけられて振り向くと、微笑んでいる立花がいた。立花、美人だからつい見入ってしまう。「おはよ」と返事をすると、一人でいることが不思議だったのか「乱太郎達はまだ寝ているのか?」と聞いてきた。「そりゃもう、幸せそうにぐっすりと」と答えると、「ああ……、その姿が思い浮かぶな……」と呆れている立花。あ、そうだ。立花に秀作がどこにいるか聞けばいいじゃないか。



「立花、秀作どこにいるか知らない?」
「小松田さんか?あの人なら出かけたぞ」



え、マジか。



「小松田さんに用か?」
「用っていうか、暇だからなにか手伝えることはないかな、って」



「居ないんじゃ仕方ないか」と呟く私。大人しく部屋に戻ろうかな。立花に別れを告げようとした時、「それにしても、監視されているな」と立花が言った。うわ、ハッキリ言っちゃったよ、この人。まあ、周りに全然人がいないとなると、誰だって不自然だと思うか。



「まあ、お前のことだから気づいているだろうが」
「ホホホ、お褒めにあずかり光栄ですわ」
「……お前ほんと慣れると性格が変わるな」
「それほど立花に心開いてるって証拠でしょ」



私の言葉に、立花は少し驚いた表情で固まった。「……どした?」と声をかけると、ハッと我に返った。そして、「はっはっは、そうかそうか」と私の頭を撫でてきた。立花の身に一体何が起こったというのか。



「頭おかしくなった? 医務室行く?」



私の問いには答えず、「はっはっはっ」と笑うだけの立花。なんて奇妙な光景だろうか。……とりあえず立花恐い。




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