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今日から、土井先生ときり丸が忍術学園へ行ってしまう。そのせいだろうか。なんだか、さっきから落ち着かない。二人が行ってしまうことが、こんなにも不安だなんて思わなかった。



「私達は行くけど、いろいろと気をつけるようにな」
「秋奈姉、体壊すなよ!」
「うん、二人もね」



私の頭に手を置いて、心配そうな土井先生。私に抱きついて、注意をしてくれるきり丸。
半年くらい会えなくなるなんて。いや、何日かは会いに来てくれるけど。……会わない間に、二人が私のことを”どうでも良い存在”だと思っちゃったらどうしようか。そんなことになったら寂しくて死んじゃう。



「じゃ、行ってくる」
「行ってきます!」
「……ん、行ってらっしゃい」



私に背を向けて、歩いて行ってしまった二人。私は、長屋の壁に背を預け、二人の姿が消えるまで見送った。……とうとう行っちゃったな。うるさかった毎日が、私一人では静かになってしまう。私は、小さくため息をついて長屋の中へと戻った。




 ***




土井先生ときり丸が行ってしまった後、私はやることもなく長屋の中で寝ころんだ。ちなみに、今日のバイトは休み。



「…………」



こうもやることが無いと、なんとなく虚しくなる。携帯を見ても、いまだに圏外。これではインターネットに繋ぐこともできないし、誰かと連絡を取ることもできない。でも、写真を撮ったり保存した画像を見ることはできる。私はそっと携帯をしまう。近所の子供たちと遊ぼうかな。よし、思い立ったらすぐに行動せねば。




 ***




「ぎゃー!! 秋奈姉ちゃん強ぇー!!」
「次、俺ね!!」
「じゃあ、その次俺ー!!」



ただ今、近所の子供達とチャンバラごっこをしております。全員きり丸より幼い。武器は布を丸めたもの。さすがに木の棒だと危ないから。私は、剣道に関しては強くない。でも、さすがにチビッ子達相手だと勝てる。



「よっしゃ! かかってこい!!」
「いっくぞぉー!!」



子供が一人で私に攻撃を仕掛けてくる。しかも、真っ直ぐに。うーん、真っ直ぐ斬り込んでこようとするのは悪くはないけど、相手に動きを読まれちゃうな。いや、剣道全然強くない私が言えたことじゃないけど。私は軽く横に避ける。子供は避けられたことにびっくりしている。その隙に、子供の頭を丸めた布で軽く叩いた。



「はい、終了ー」
「えー!?」



我ながら大人げない。いや、でも、ワンパターンすぎる子供達にも非があrゲフンゲフン。



「秋奈姉ちゃん、俺お腹空いたー」
「あたしもー」
「じゃ、皆でお団子食べに行こうか」
「お団子!? やったー!!」



土井先生ときり丸、うまくやっているだろうか。




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