07


「――…は!? 七日後に家を出る!!?」



土井先生曰く「長期休暇の時にしか家に帰れなくてな。今は夏休み中なんだが、その夏休みがあと七日しかないんだ」というわけらしい。そして、次の長期休暇にならないと、この家に戻ってこれないというわけだ。そんな……、二人がいなかったら私は一体どうすれば……。御近所さん方とは仲良くしていただいている。でも、二人がいなくなる生活なんて考えられない。料理もできないし、夜なんて恐くて一人じゃ……。



「秋奈姉も忍術学園に来れれば良いんだけどなー」
「でも、一般人の秋奈にはキツいだろ……」



心なしか土井先生の顔が老けて見える。アンタどんだけ苦労人なんだ。……なんとなく想像はつく。私も戦えればなあ、なんて思う。でも、忍の動きとか絶対無理。頭も運動もダメダメな私にとって、そんな高度な忍の行動をとれるはずがない。かといって、もし何かあったとき守られてばかりなのは気が引ける。まあ、ここは我慢するしかないな。



「あ!!! バイトの時間!!!」



きり丸がいきなり声をあげる。私と土井先生はびっくりしてビクッと反応してしまった。ひ、一人じゃ恥ずかしいけど、二人なら恥ずかしくないぜ。どうやら今日は、午前中が団子屋の手伝い、午後が扇子屋の手伝いらしい。一日中バイトなんて、きり丸は大変そうだ。本当尊敬する。私なんて、元の世界ではバイトやらずにダラダラ過ごしていた。ゲームとか漫画とか……、趣味が多くありすぎて。まあ、こんなのはただの言い訳だけど。



「んじゃ、行ってきまーす!!」
「行ってらっしゃい」
「気を付けるんだぞー」
「はーい!!」



ニカッ、と元気よく笑って長屋を出て行くきり丸。素直で可愛らしい。きり丸は私の弟ってことで良いと思う。それにしても、きり丸ばかりバイトさせるのは居候としては肩身が狭い。そう思い、「私もバイトしようかな」と呟くと、土井先生が「えっ!!?」と驚いた。



「お前、ここに来て間もないのにバイトだなんて……」
「でも、居候してる身だし。あ、昨日の古着屋さんは駄目?」
「着物買ったところか。そういえば、店の人と結構仲良さげに話してたな」
「ああ、弥生さんね」



弥生さん美人だったな。ニッ、て悪戯するときみたいな笑顔が眩しかった。それに性格も良かったし。……よし。立ち上がり、「今から弥生さんのところに行ってくる!!」と意気込む私。土井先生は一瞬驚いたが、すぐに呆れ顔になってため息をつき、「急なのは一年は組と似てるな」と言った。でも、私がバイトすれば金が溜まって多少裕福になるかもしれないし。それに、



「これから、もっとお世話になるんだもん! お礼くらいさせてよ」



「駄目?」と眉を八の字にして、土井先生に詰め寄る。土井先生は観念したようで、「分かった」と言ってくれた。やった!! これでお金たまる!!



(じゃあ行ってきます!! by.秋奈)
(えっ、今からか!!? by.土井)




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