Act.46

結果、ジャンケンで全負けしてカレーラムネになったのは私でした。
「なんで……?」と言いながら、取り残されたカレーラムネをしかめっ面で見る。夏菜と切原君と桃城君が笑っているのは無視しよう、ムカつくから。



「ねえ、これもう仁王のやつにしない?」
「それじゃ仁王がかわいそうだろ」
「そもそもさあ、桑原君がこれ押さなければ良かったのにさあ」
「俺かよ」



桑原君と会話をしながら、カレーラムネを手に取る。思考を変えてみても美味しそうに見える気がしない。しかし、皆は期待の眼差しで私を見ている。え、これ皆の前で飲まなきゃいけないパターンなの?
と、その時、こちらに歩いてくる仁王の姿が見えた。目が合った瞬間に手を振られた為、私も振り返す。



「あ、仁王せんぱーい!」



私の行動に、視線を辿った切原君が仁王を見る。ぶんぶん手を振る切原君に、桃城君が「腕取れそう」と呟く。たしかに。
全員の意識が仁王に行っている間に、カレーラムネを床に置く。しめしめ、これで皆の前で飲まなくて済む。後でこっそり飲もう。



「体調大丈夫か?」
「ん、城阪が看病してくれたおかげじゃ」
「ずっと寝てたくせに」



桑原君、仁王、夏菜が言う。
ゲームを再開した日吉君のプレイ画面を見ると、仁王が「御剣」と私を呼んだ。「ん?」と聞きながら、仁王に視線を向ける。



「怒っちょる?」



その言葉の意味が分からず、固まってしまった。切原君もなんのことか分からず、私と仁王に「え、喧嘩してるんスか?」て聞いてきた。私が返事をするよりも先に、仁王が「いや」と否定する。夏菜は事情を知っているようで、苦笑している。



「昨日、怒っちょったから」



……ん?
チンプンカンプンな私に、夏菜が「ほら、仁王をあたしのところに連れてくる前に」と言った。……あっ! あーっ、皆の前で怒っちゃった時のこと言ってるのか! 桑原君達も思い出したのか、「あー」と口を揃えて言う。



「いや、怒ってないけど、なんで?」



きょとんとしながら聞くと、仁王は「いや」と首を振った。そして、「怒ってないならいい」と安心したかのように笑みを浮かべる。どゆこと? 仁王のことだから、怒られ慣れてないことはないと思うんだけど……。部活内には真田君もいるし。
?マークを頭にたくさん浮かべている間に、仁王も私達の輪に混ざって座った。



「そうだ、仁王、これ」
「お、ありがとさん」



桑原君から手渡された緑茶を受け取る仁王。どういう意図で聞いてきたのかは教えてくれないらしい。ま、いいか。ゲーム見よ。
その後、プレイヤーが財前君、桃城君と変わりながらも、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。



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