「ねえコンビニ行きたい」

「…今?もう日付変わるよ?」

「そんなの知ってるもん」

そんなことは分かっている。でも、ずっとずっと発売を楽しみにしていた生チョコタルトのCMをテレビで見てしまったのだ。太るのもわかるしこんな時間にあんまり出歩かない方がいいのもわかってるけど、食べたさ過ぎて食べないと寝れない。


「そうやって言うけどさあ…この前名前風邪ひいたばっかりなんだから」

「大丈夫!ねえお願い〜〜」

「仕方ないなあ…暖かくしろよもう」

「やったー!」


気分はるんるんで善逸と私の分のコートを取りに行き、手渡す。私がコートを来ている間に、首にはぐるぐるとマフラーが巻かれ、防寒対策ばっちりの格好となった。


「寒っっほんと寒いよよくこんな中行こうと思ったね!?」

「だって今すぐ食べたかったんだもん」

「こういう時の行動力半端無さすぎじゃあありませんかね…」


すぐそこのコンビニくらいで本当に善逸は大袈裟すぎだと思う。しかも、さっき私には風邪をひいたばかりだとかなんだとか言っておきながら、自分は首元がスカスカで見ててとっても寒い。善逸の方が風邪ひきそう。


「はぁ〜やっと家ついた〜」

「やっとってまだ10分くらいしかたってないよ」

「寒い時って体感時間がバグるの!お前は自分が行きたくて行ってるからいいと思うけど!」

「だから一人でもいいっていっつも言ってるのに」


善逸は、私がコンビニに行きたいっていう時、いっつもついてきてくれる。「一人で行けばいいじゃん」っていう時もあるけど、なんだかんだ言って結局一緒に家を出て、手を繋いで歩くのだ。


「名前一人じゃ危なっかしくて出歩かせてられないよ」

「ほんとそういうとこ善逸過保護」

「過保護なくらいでちょうどいいんだよ」


買ってきた生チョコタルトを私よりも先に開けて食べているのを見て、ずるい!と声を上げると、ポイっとタルトの入った袋を投げられた。


「でも年々私の扱い雑になってるけどね」

「そんなことないよ?今日も俺の彼女かわいいな〜って思ってましたけども」

「思ってるだけで行動に移さないんじゃ意味ないもん」

「あ〜もうほんとかわいい」


おいで、と善逸の足の間をぽんぽんと叩かれ大人しくそこに収まると、お腹にぎゅっと手が回された。


「早く温泉行きたいな」

「たのしみだねぇ、まあもう明後日だけど」

「その2日が長いの!善逸なんてコンビニ行って帰ってくる10分が長く感じるんだから明後日なんて迎える頃にはきっともう干からびてるよ」

「そんな言い方ある?泣くよ?」


こんなに食べてたらお腹ポヨンポヨンになっちゃうかもだけど、混浴はないのでよしとしよう。





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