カーテンから漏れる光で目を覚ます。ふと隣を見ると、見慣れた金髪が半開きになった口を綻ばせながら幸せそうに寝ているのが目に入った。

「善逸起きて、遅れちゃうよ」

「んー、あと5分だけ…」

「もう、仕方ないなあ」

先に顔を洗って、朝ごはんを作っておこうと布団から出ようとしたが、にゅっと飛び出してきた腕に捕まり布団に逆戻りする。

「あと少しくらいいいでしょ、許してくれよ…」

「…ちょっとだけだよ?」

「やった、へへ…」

そう言って夢の世界に戻っていく善逸を見ながら、わたしもほんの少しだけと善逸の腕の中に収まり目を瞑る。結局、次に起きた時にはいつも家を出るギリギリの時間になっていてふたりで大慌てになるのだけれど、それもまた心地がいいのだ。もしかしたら講義、遅刻かもなあ。そんなことを考えているうちに、頭がふわふわとして眠りの世界に沈んでいった。


ーーー


「名前ちゃんと我妻くんって、付き合って長いよね?」

ひそひそと横に座っている女の子から尋ねられ、控えめに頷く。いいなあ羨ましい!とほっぺたに手を当てる女の子に照れ笑いを見せながら、正確にはどれくらいだったっけ、と考える。

善逸との付き合いは長い。中学からずーっと同じ学校に進学してきたわたし達は高校2年生から付き合い始めて、この春で4年になる。高校時代に付き合っていたカップルのほとんどが既に別れてしまっている中でわたしたちがまだ付き合えているのは奇跡だとも思うし、一方で、これからもずっと一緒にいられると確信できるような、なんとも言えない安心感もある。

お互いのアパートが近いこともあって、お互いの家を行き来しているうちに半同棲状態になっていることもあり、お互いがいる生活が当たり前になっているから、考えるきっかけがないとついつい感謝の気持ちを忘れてしまう。

そんなことを考えているうちに講義は終わり、帰り際に善逸の好きなスイーツでも買っていこうかとコンビニに入る。

「えっ」

真っ先に目に入ったのは、レジに並ぶ善逸の姿だった。しかも、手には私の大好きなアイスが2つ。

「部屋にいたんだけど、急に食べたくなって買いに来たんだ。名前は?」

「私も、善逸が好きなお菓子、買って帰ろうと思ってたの」

「ほんとに!?偶然すぎじゃない!?」

やっぱり俺ら気が合うねぇと笑う善逸にわたしもつられて笑う。

やっぱり、本当に幸せだなあ。
会計を済ませて手を繋ぎながら一緒に歩く道は、いつも通りのはずなのにいつもよりも輝いて見えた。





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