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遅れたけど今吉誕生日おめでとう!


液晶画面に映る今吉の名前。
その下にはオレを迎えに来るという内容があり、オレは驚いて飲んでいた缶コーヒーを気管に入れてしまった。
咳き込み始めたオレを心配してか原が声をかける。
「大丈夫ー?どうしたのいきなり」
「…かはっ…ちょっとイヤな文を見てな。ほら」
携帯の画面を原に見せると、口元に浮かべていた笑みが苦いものに変わった。
「うっわー…今吉って花宮の先輩なんだったっけ?何でその人がここに来るの」
「…アイツの……誕生日、なんだよ」
「え?」
原の前髪が短かったらきっと目が丸くなっていることだろう。
そう思うくらい原の言葉には意外だと言うことが詰まっていた。
それはそうだろう。
先輩が誕生日にオレなんかに会いにくるなんて、分からないだろう。
まぁ、普通の先輩はしねぇさ。絶対に。
「…はぁ、だりぃ。今日は部活無しな」
そう言って席を立って教室を出ると、後ろからよしっ!という小さな歓声が聞こえた。
原は練習量を倍にしてほしいようだ。


今吉が校門で花宮を待っていて、そんな時間はかからなかった。
不機嫌そうにムスッと今吉を睨み付けながら花宮がまっすぐ歩いてくる。
「花宮、久し振りやなぁ」
「ふはっオレは一生会いたくなかったよ」
すぐに出てくる憎まれ口を愛おしく思いながら今吉は笑った。
「なんや、今日は素直やないんやなぁ。前はかわいーく甘えてきて至福の時やったんやけど」
「おい、いつオレがそんなことした。今日のプレゼントは性格が変わるくらいの打撲がいいのか。なるほど今すぐにやるよ」
花宮が指の関節を鳴らし始めると、狼狽したかのように今吉は謝った。
恐らく今吉はこの程度予想していただろう。
花宮のひとつひとつの反応は、今吉にとっては手に取るように分かるのだろうから。

花宮は忌々しそうに舌打ちして歩き出す。
「あれ、花宮どこ行くん?」
「マジバ。そこで何かおごってやるからありがたく思え」
今吉は肩を小さく落として、花宮の腕を掴んだ。
「花宮、今日はワシの誕生日やで?何でそのプレゼントがマジバやねん。がっかりにも程があるわ」
「…じゃあ何がいいんだよ」
今吉はその言葉を待っていたかのように、にんまりと笑った。
「んー…そやなぁ…」
にやにやしながら今吉は花宮を見て目を細める。
花宮はイヤな予感しかしないようで、足を少し後ろに下げている。
だが今吉は距離を詰めてきて、花宮はガードレールにぶつかってしまいこれ以上は逃げられない。
今吉は花宮を抑え込み言った。

花宮と今日終わるまで過ごす時間が欲しい。

2013/06/04 00:14
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