3杯目 高校生になって余裕が出てきたころ、わたし越生菜摘はバイトを始めた。 バイト先はコーヒー専門店で、コーヒー好きのわたしにはたまらないバイト先! そのバイトには週2回入ってる。本当はもっと入れたいけど、うちの高校は進学校のためにこれ以上入れるのはさすがにキツイ。 今日はその週2回のバイトの日。 「こんにちはー」 先に更衣室にいたユーリさんに挨拶をして、着替えた後レジの前に立つ。 お客さんはこの時間はあんまり入ってこない。だから、のーんびり。この後、怒涛のラッシュがくるんだけどね。 「あ、そろそろ例の彼来るんじゃない?」 「へ? ……もうそんな時間かあ」 ユーリさんに言われて時計を見てみれば、もう時計の針は8時を回っていた。 いつも通りなら、そろそろユーリさんのいう彼がやってくる時間。 瞬間、お店の自動ドアが開く音がして、男の子が入ってくる。 ナチュラルブラウンのさらさらした髪に、色素の薄い瞳。全体的に顔は整っていて、かっこいいとか綺麗というよりは可愛い系。 この子こそが、ユーリさんのいう“例の彼”だったりする 。 back |