11杯目 ギョッとして、離れた健くんに何も言えずに口をパクパクさせていると、健くんは嬉しそうに笑った。 「顔真っ赤だよ」 「な、な、なっ」 あわあわとするだけのわたしに、健くんは余裕そうににっこり微笑んで、わたしの頬に手をやって、もう片方の手はわたしの後頭部に手をやって、かなりの至近距離で 「好き」 と呟いた後、わたしに口付けを落としたのだ。 「菜摘ちゃん、可愛い」 「ば、バカっ! ……でも、好き」 言った瞬間、レジ越しなのに健くんは抱きしめてきた。 ミルクティーは、冷めることなくあったかく、わたし達を見ていた。 back |