喰らうかのように

普段と逆だし吸血ネタです。100%捏造。



「少しだけ、ほんの少しだけ……」

大賢者さんは小刻みに震える手で、僕の頬を撫でた。
僕は着ていたシャツを脱ぎ、両手を広げて迎え入れた。

ガリッ、と、肉が切れる感覚が首に走った。
そこを大賢者さんの舌が這い、息がかかり、たくさん血が滴った。
夢中で血を啜る大賢者さんの背を撫でて、囁いた。

「またあの時のように一つになりたい?」

大賢者さんは嗚咽を漏らして泣きはじめた。

僕は素手で大賢者さんの唇を拭って、激しいキスをした。
血が足りないのか、クラクラとした眩暈がする。

「ごめんなさい、呪いの子よ……。あとで回復魔法をかけますから……。」

ここはネオンシティの路地裏。
はたから見たら僕たちは熱く愛し合っているようにみえるかもしれない。
僕は覚えたての呪文を唱えながら、大賢者さんのローブの下へ手を這わせた。


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