浅いまどろみ
昨夜はとても寒く、今朝、僕は大賢者さんと同じベッドで眠っていた。とくに何をしたわけてもなく、暖かくなりながら眠っただけたけれど。
翌朝、大賢者さんはよっぽど疲れているのかすうすう寝息を立てて眠ったまま。
僕は、宿屋のキッチンを借り、荷物からくすねてきた材料を並べた。ホットケーキミックスとほうれん草、乾燥トマト、ベーコンを混ぜ、僕と大賢者さんの分だけスコーンを焼いた。
「大賢者さん、朝ごはんですよ。」
僕は優しく大賢者さんを起こしました。
「うっかり眠ってしまいました。なんだかいい匂いがしますね。…あ、これはもしかしてわたしの朝食ですか?」
「どうぞ召し上がってください。」
新鮮なミルクと、ほかほかのスコーン。大賢者さんは真剣な顔でスコーンをちぎり、一口頬張りました。
「今日の朝食はおいしいですね。よくできました。いつ覚えたのですか?」
笑顔。でも、残りのスコーンを食べずに布に包み始めたのはなぜ?
「呪いの子よ、遥か彼方の東の国では、花を見ながらピクニックする風習があるらしいですよ。せっかくサイショーに来たのですし、花を見ながら外でいただきましょう。」
宿屋に置かれた水二本とスコーンを持って、僕たちは野原に来ました。
顔のないガンメンガがたくさんいて、ぱたぱたと空を泳いでいた。まだときどき寒いのに、黄色い花がたくさん咲いています。
「あー、平和だ。」
大賢者さんは草の上に寝転ぶと、深呼吸して若い植物の息吹を堪能しました。僕は風に乗った花の香りと清流の冷たさを味わっていました。
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