ふたりでいるんだ

※閲覧注意の章にある「ひとりのキス」の平行世界ルートです。こっちはホラーじゃない。
※メインシナリオをクリアしてからお読みください。


わたしと呪いの子は、雷と雨がうるさくて眠ることができないでいます。
牛乳をたっぷりと入れた紅茶に特上の蜜を注ぎ、ちょっと薬っぽい感じを楽しみながら飲んでいると、
大きな音を立てて雷がどこかに落ちました。

「ひっ……!」

呪いの子が雷をひどく恐れ、毛布をかぶって震えています。

「大丈夫ですよ、呪いの子。あなたとわたしは太陽になった仲じゃないですか。たかが雷ひとつ、なんてことないでしょう?」
「だって、だって……!」

呪いの子の声は震えていました。きっと泣いているのでしょう。

「あなたもミルクティーを飲みますか?ほら、甘くて暖かくておいしいですよ?」

呪いの子は嗚咽を漏らしながら泣いていました。

ドーン!バチン!

大きな雷がもう一度どこかに落ちて、宿屋が真っ暗になりました。
雨の音と、呪いの子の泣き声しか聞こえてきません。

「しょうがないなあ。」

わたしは毛布をそっとめくって、呪いの子にキスをしました。
頬に3回、額に1回、そして、唇にそっと1回。
そして、呪いの子を抱きしめました。

「ほら、わたしがこんなに近くにいるんですよ。大丈夫、大丈夫。」
「……ミルクティー、飲みたい」
「はいはい。」

わたしはもう一度、呪いの子にやさしくキスをして、

「いい子で待ってるんですよ、呪いの子。」

そう耳元でささやいて、熱を失いつつある紅茶をティーカップに注ぎ、ぬるいミルクと蜜を足してきました。

「どうぞ。」
「ありがと」

あなたは真っ赤に泣きはらしていましたが、一口、ミルクティーを飲んで「おいしい」と静かに微笑みました。
その笑みは安心しきっていて、普段おませな呪いの子にしては珍しい笑みでした。

#2022.5.31 0:50


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