舌先には言葉と体温
今、大賢者さんと寝ています。寝るといっても二人で大きめなベッドで横になっています。
部屋で焚いているよくわからないお香の香りで、何故かどきどきしています。
「呪いの子はかわいいですね。いい姿を作ってもらえてよかったですね。」
そう言うと、薬草の匂いが染み付いた親指で、僕の唇を撫でます。
「大賢者さん、何故今日はダブルベッドなんですか。」
「空きがこの部屋しかなかったからですよ。」
大賢者さんは僕を抱き寄せ、頬にキスをしました。今日は蜂蜜の香りがしました。
大賢者さんの、キスの雨は止まりません。手首、瞼、額、鼻、首すじ…
柔らかい唇の感触と、蜂蜜の香りが広がります。
「大賢者さん様、僕もキスしたいです。」
「じゃあ、口づけの勉強をしましょう。」
上目遣いで求める僕の、額にキスをして
「もう後戻りできませんよ?」
と、微笑みました。
「最初は唇を優しく重ね、唇だけで味わうのです。
気持ちよくなってから舌や唇を吸えばしばらくの間は夢中になれるでしょう。できますね?」
「自信がないです。」
「じゃあ、わたしが教えて差し上げます。」
大賢者さんの蜂蜜味の唇が、僕の唇を食んでいます。
ちゅ、ちゅ、と音を立てて味わってます。片手は互いに指を絡めて、僕は強く握っています。
僕はおそるおそる大賢者さんの唇を舐めてみました。
意外とツルツルした感触で、舌はのど飴の味がしました。そのまま舌を吸われて、変な声が出ました。
「んっ…つつっ。ちゅっ、く、」
「ぷは!まだ早かったかな。」
大賢者さんは顔を離し、いつもの顔で
「おやすみなさい。」といって眠ってしまいました。
僕はベッドから出て、つめたいお水を飲みました。
(大賢者さんのキス、MP飴の味がした…)
これからMP飴を食べるたびに思い出しそうです。
[ 2/19 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
白昼夢がお送りします。