私にとってこの世界は、愉快な玩具箱だった
奴にあうまですべては玩具でしかなかった
「んだよ人の顔じろじろ見やがって」
「なんでこんなひげ面に惚れてしまったんでしょうね私は」
「そりゃあれだろ俺がイケメンだからだろ」
「すいません最近耳が遠くなりまして」
お前悪魔だろと呆れ顔をする奴
その顔ですら愛おしいなんてまったくもってどうかしている
「なぁ獅郎、お前は大切なものはあるか?」
「なんだよ急に」
奴は少し考えて彼の育てている双子の名前を挙げ、
「もちろんお前もな」
と当たり前のように付け加える
「……はっ」
なぁ獅郎、お前の大切なものに私が入っているのだな。
私はお前のことは玩具だと思っていたのに
私もお前のことが大切になっていたようだ。
ああ、ここはいつのまにか私の玩具箱ではなく宝箱になっていたようだ!
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365日企画/宝箱ボツネタ