なぁともよ。


夜、工事中の鉄骨の上。

「獅郎」

こいつは月の満ち欠けのように、周期的にやたら甘えたがる。今日の月は満月

「なんだよ」

「とくになにも」

「野郎にべたべたされても嬉しくねぇよ。巨乳美女になって出直してこい」

「無茶な事言うなよ」

「悪魔だったらできるんじゃねぇか?」

「ぬかせ。一回死んでこい」

唇の端に微笑をたたえそんな事をさらりと言いつつ、俺から離れようとしない。

「俺は死なねえよ。手ぇかかる息子もできたしな。しかも二人も。」

「そうか」

「それにもっと手ぇかかるお前もいるしな」

「せいぜい生きてみせろ」

「ああ、せいぜい生きるさ」

どうせお前より長く生きることはありえないのだから。

なぁ、親友よ。

「月が綺麗だな」



---------------------
獅郎さんは本人には「親友」とか「恋人」とか言わない気がする。
月が綺麗だな の解釈は純粋な言葉でもI love youでも
365日企画:なんどでも のボツネタ