飼い慣らせもしないのに
「従順な女性がいいのなら、そういう女性を選べばよかったのだわ馬鹿馬鹿しい」
「飼いならすのは性に合いませんので」
何食わぬ顔で彼は言う。嘘ばっかり。そう私が笑い転げると彼は不愉快そうに眉をひそめた。
「ね、私インゴのそういう顔、好きよ。」
私が笑いすぎて滲んだ涙をぬぐってそういえば、そんなこと初めて言われました、と眉間の皺をさらに深くして彼は言う。
そしてその顔がまさに私の好みであることを彼は知らない。伝えたらきっと悪趣味だといわれるのでしょう。
飼い慣らせもしないのに
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