甘いものはすぐに溶けてしまう
ころころと口の中で雨を転がしながら、雨生龍之介は同居人の二人について考える。
留学生の、猫背だが背筋を伸ばせば見上げる程の長身であるジル、同じく留学生のかわいらしい少女、ジャンヌ。そしてその二人の世話を任された龍之介は一般的な日本人学生である(家が少々名家と言われる程度には大きいが)
外から見ればどれだけ奇妙な三人組に映るだろう。それを考えるたび龍之介は愉快な気持ちになる。
がさがさと鳴らしながら帰るビニール袋の中には三人で食べる菓子類。
買いすぎだとジャンヌに渋い顔をされるかもしれない。けれどそれもまた楽しいのだ。
がり、と龍之介は飴玉を噛み砕いた。
甘いものはすぐに溶けてしまう
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