皮膚下の独占欲
カリヤ、と、そっと名前を呼んでみたところで半ば意識を失っている主には届くはずもないのだ。
だから少々調子に乗っていたのだと思う
「カリヤ、お慕いして、おります」
私と彼はあくまでも主従関係でありそんな関係になりたいなんて思ったことはないけれど。
それでも彼に仕えるのは、彼のそばにずっといていいのは私だけなのだ。
「カリヤ、あなたが好きなのは私ではなくて、あなたがよく話してくれるあの女性のことなのでしょう、そして大切に思っているのは、あの少女なのでしょう」
返事など期待していません。カリヤが、私が実体を持つことをこうして許してくれているだけで充分なのです
カリヤ、と私はもう一度彼の名を呼んで、そっと彼の髪に触れました。
いっそ彼が私だけを見てくれればなんてそんなこと、考えることすら許されないはずなのです、
皮膚下の独占欲、
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