舌の上の銀色
銀色の光を放つそのカプセルを彼は薬のような物だと言って飲み込んだ。
「まぁ正確にはエネルギィなのですけれど」
「ふぅん、」私は感心したような声を出したが、そんな事別にどっちでもいい。
「今日も、ノボリは遅いのですカ?」
「帰ってくるかどうかも怪しいわ」
ひたり、と触ってみたインゴのほっぺたは、柔らかいくせにひどく器物的に冷たかった。
「人形を一つ与えて家に一人きり放置するなんて、どんなに小さい子でも納得するはずないじゃない」
そう思うでしょう?と私は彼と同じ顔をしたそれの頬に口付けた
舌の上の銀色
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