青に虚ろう
朝と夜がぐちゃぐちゃに混ざり合っているこの世界の空は、いつも不思議な色をしている。
今は青みがかかっているその空の色を吸い込んで、イヴェールの片目は紫色に煌いた。
「きれいだ」
「でも、ぼくより綺麗な目をした子はたくさんいるよ」
メルヒェンだって屍体のくせに、目だけはあんなに澄んでいる、とイヴェールはその目を伏せた。
「本物の、紫に澄んだ瞳はね、怖いくらいにきれいなんだ」
きっとそれを見ちゃえば王子はぼくなんか、イヴェールが言い終わらないうちにテッテレは途中で手でイヴェールの口を塞いだ。
「ぼくはまた本当に紫色の瞳を見たことがないから、それがどれだけ綺麗なものかはわからないけど、イヴェール、君の目は僕が見たどれよりも綺麗だよ」
青に虚ろう
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