祈るように、と彼は嗤う
喪服に身を包み、顔を伏せたその女はいつもより数段美しく見えた。
綺礼はひっそりと笑みを漏らす。
(若くして連れに先ただれたというのに、気丈なことだ。)
痛々しくすら思える。
綺礼はさも、同情しているという素振りで女に近づいた。
「祈ることです。彼の為に」
泣いた痕を隠すような化粧をしている彼女が、自分を見上げ微笑んだ。
彼女の手を慈愛に満ちたような仕草でとる。
彼女の連れが、最期に言ったあの言葉を、いつ伝えて差し上げようか。
祈るように、と彼は嗤う
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テーマ「人外ファンタジー」
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