愛に生かされる少年
やっぱり俺幸せだな、と彼が唐突に言うものだから、私はきっと怪訝そうな顔をしたのだと思う。
「なに、いきなり」
「だってさ俺、今日すげぇ楽しかったんだ。みんなといろいろ回れて。ほら俺修学旅行とか行ったことなかったからさ」
縁側にぶら、と足を投げ出して彼は言う。
「京都タワーとか、あと寺とか神社とかもたくさん見れたし写真も撮れたし」
楽しかったんだ、と彼はもう一度繰り返した。
「特にほら、お前っていう彼女もいるしよ、」
そう言って奴はにかりと笑って私の頭を撫でた。
「単純、ね」
「別にそれでも楽しく生きてるからいいと思うんだけどな」
奴は唇を尖らせた
愛に生かされる少年
[目次]