私を愛せないのなら死んで下さい
貴様が手を下さずとも、そのうちすぐ死ぬじゃあないか、という英雄王の笑い声が聞こえたような気がした。
めずらしく安らかに寝息を立てている年上のその男。
自分の師と同年代だというのにどこかあどけないその寝顔を見ていると、言いようも無い気持ちになる。
師を殺したときなどとはまた違う、胸を締め付けられるかのような、
(なんだ、これは)
ごろりと彼が寝返りをうった。毛布がめくれて細い首があらわになる。自分の片手だけで簡単に握りつぶせそうな白い首。
最近は寝言で遠坂時臣の名を呻くこともなくなった彼を、どのように愛でてやろうか、と綺礼は笑みを漏らした。
私を愛せないのなら死んで下さい
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