僕は僕のことを好きな君が好きなだけだ
「で、その遠坂葵という女はお前に一体何をしてくれたのだ?」
私が雁夜にそういうと奴はぴたりと口を閉じた。と言うより何も言えないようだった
「葵さんが俺に何をしてくれた、だなんて。俺は見返りを求めている訳じゃない」
何も求めずに自己を犠牲にできるほどこの間桐雁夜という男は、聖人ではない。
「これは聖職者としての忠告だ。命を粗末にするな」
聖杯戦争から手を引いて、間桐からも逃げてしまえと私は言った。
「私が魔力供給をしていれば、生き続けることは可能だろう」
「残りの人生をお前と過ごせというのか?何もかも捨てて?」
あぁそうだ、と私は言った。どこのプロポーズだと奴は言った。
(それならそれで、よかったのだが)
「なぁ間桐雁夜、私ならお前を愛してやれるさ」
僕は僕のことを好きな君が好きなだけだ
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