視えない気持ち

「例えばどれくらい好きかを訊かれ、何かに例えて答えたり、何かと比較して答えたりなぞするけれど、結局それはどれもしっくりこない気がするのよとくに、私があなたに対して抱いている想いは。」

「とはいえまさかそれが直に見せられるものではないのです。あなたの胸を切り開こうが私の脳髄を抉り出そうが、これに対して百聞は一見にしかずは通用しないのです」

「えぇそうよそんなのわかっているわ。だから今こんなに私は苦しいの。いくら言葉を重ねたって言葉一つ一つが軽くなっていくだけで私の気持ちは一万分の一も伝わりやしない。」

そう言って泣く彼女を、何故泣くことがあるのです、と抱きしめることしか私にはできないのでした

視えない気持ち




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