ゆるやかな回帰のなかで

リサイクル、ということらしい。彼らは鉄くずにスクラップされてどろどろに溶かされて、作り変えられる。
真新しい車両、というものはいつだって少しだけわくわくするものだ。
メタルの輝きを、私の眼球はぐんぐん吸い取っていく。
見つかるはずもないのに、部品ひとつひとつに彼の面影を探している。
彼の中に行儀よく収まっていた数々の部品に、私は想いを馳せる。
座席に座ってうとうととしていると、彼の硬い足音が聞こえてきた。
私は目を開ける。

「ねぇ、今の貴方の体って、何代目だったかしら」
「六台目だったかと」
彼は間髪入れずに答える。

数年に一度の交換で、もうそんな数になるのか。
「ねぇ、あなたは体がスクラップされてしまうことを、一体どう思っているのかしら」
彼はぱち、と目をしばたかせた
「同じところに還る、それだけでございます。」

ゆるやかな回帰のなかで



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