痛いくらいの愛で縛ってほしい
彼の細い指のどこからこんな力が湧いてくるのか、そんなことを思わせるくらいの加減で彼は私の腕をつかんでいました。いつもは冷静沈着、なんて言葉を貼り付けたような顔の彼なのですが、今に限ってはその両眼を震わせ、顔色はいつにもまして白く、
いつもの鉄面皮は敗れて地面に落ちているような有様でした
。
「私は、あなたを置いてどこかへいくことなど絶対にしません。」
彼は、それと同じことを私にも誓ってほしい、と言いました。
「喜んで」
なんだかプロポーズに返す肯定をしてしまったことに気がついて、私はひどく赤面してしまいました。
彼は安心したように、少しだけ力を緩めました。
痛いくらいの愛で縛ってほしい
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