宵闇が終わっても
森に迷いこんだ時点ではまだ黄昏時だったはずなのに抜けたときにはもう暁だった。
(うそだろう?)
僕は途方にくれる。だってどう考えてもおかしいじゃないか。
森で、とある青年に――ひどく顔色の悪い青年だった――に道を聞いて、すぐに出ることができたのだ。彼の言葉を僕はなぜだか、一字一句違わずに思い出すことができる。
『また来たのか、毎回毎回よくもまぁ。そんなに覚えているものだ。君の出番はまだだぞ。(彼はここで心底あきれた顔をした。僕はこの森に来るのは初めてなのに)
もう用がない限りこないほうがいい。言うことをきかない手駒をイドはけして、逃がさない』
宵闇が終わっても
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