合わせ鏡の向こう側
幼い頃私とクダリで合わせ鏡の前に立ったことがありました。
クダリははしゃいだ声であの隙間に隠れられると言いました。
当時から何も変わらないギアステーションのその通路に私は立っていました。
傍らに同じ顔がいないとこうも寂しく感じるのでしょうか。
私が顔を伏せた瞬間すっ、と鏡の間を走り去って行った白い影がありました。
「そこに居たのですか、クダリ」
私は慌てて顔を上げました。駄目じゃあないですか一人だけ行ってしまっては、
「待ってくださいまし今、そちらへゆきますので」
ずぶり、と私の腕が鏡に沈み込んでいきました
合わせ鏡の向こう側
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