群青を患う

あまりにも青いから、溶けてしまいそうだわ。
シリンダーブリッジ、平日夕方。帰宅ラッシュ直前の今はもっともこの橋が静かな時間だった。

「溶けてしまいますか」

おれがそう、芸もなく繰り返すと彼女はそう、溶けてしまいそう。と言った。
確かめるように彼女は両手を空に掲げる。

「けれど今私が溶けてしまったら、トウヤ君は一人になってしまうね」

「一人になんか、なりませんよ」
俺は少しむっとしてそう言葉を返す。

本当に?


そう聞いた彼女の表情は、俺が今まで見た中で、一番魅力的だった。

群青を患う



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