これ以上は言葉が腐る

「ねぇ!」

彼女は俺の呼びかけに対して、ちらりとこちらを見たきり何も言わず足も止めず歩き去っていった。

「私はあなたに釣り合わないわ」

彼女はずっとそれの一点張りで、いつからか本当に困った顔をするようになった。
そんな顔をされたら小心者な俺は言葉をそれ以上重ねることはできないのだ。

「――さんね、いろいろ難しい子だから。」

彼女の担任は、そう困った顔をした。難しい子。きっとそうなのだろう。
けれど難しくない人なんているものか

俺は彼女を追いかけることはしなかった。言葉をかけることもしない。

けれど、諦めたわけではないのだ。

これ以上は言葉が腐る




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