甘い幻想

「地に足がついていないようね」
「……よく言われる」
なんでだろ。と彼は駄菓子を一口かじった。
屋上は陽光を遮るものがない。夏や冬はごめんだけれど今時分はとても居心地がいい。ぽかぽか。
二人並んでさぼり中である。私はともかく彼のほうは、某二年のアイドル的先輩に見つかったらあまりよろしくない結果が待ち受けているのではないのだろうか。
私がそう言うと彼は、あー、だのうー、だの唸ったあとにまぁいいや、と結論づけた。
「だって教室にいるより、ここで話してるほうが楽しいし」
彼は三本目のうまい棒の封をやぶった。
私は聞き返すチャンスを逃してしまい、ところで、と話を変えた。

(それは都合よく解釈しても、いいのだろうか)

甘い幻想




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テーマ「人外ファンタジー」
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