償うことすら赦されずに
「治らない、んだって」
にこり。彼女は無事なほうの片目を細めて見せました。
彼女の顔半分には、赤く焼け爛れた傷跡が一面にはっておりました。
「私の、私のせいなのです、私のせいでこんなことに、」
私は彼女の顔を直視できずに、目を伏せてしまいました。しかし、どうして?と彼女はあどけない声を出します。
「ノボリのせいじゃないよ、だから、ね、私のほうを見て」
彼女の手がぎこちなく私に触れました。彼女の透明な片目と目線がぱちりとあいました。
「ありがとう、ノボリ。さよなら、」
ぱりん、と硬質な音を立てて彼女は砕け散りました。
償うことすら赦されずに
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