目を瞑る度に

まぶたを閉じれば想い人の姿が浮かんでしまうというのは小説やら歌やらにありがちだけれどそれが、浮かぶのがまったく知らない人間だった場合どうするべきなのだろう。

彼は私の無意識下の中でさも親しげに私の名を呼び手を握り抱きしめていた。
その情景はあまりにも生々しく自然で、欲求不満だとかその程度で片付けられるようなものではない気がするのだ。

そもそも私はあの男を知らないのに何故向こうは、現実でも私を知っているのだ。

彼は感極まったように私の名を呼んで、かの情景のように私を抱きしめた。

彼を問いただそうとしたその時、私をめまいが襲う。

これでずっと一緒です、と彼は白く光るナイフを私に向けた。

(うそでしょう?)

今度こそずっと一緒にいましょう、と彼は私に囁いた。

目を瞑る度に思い出すのは



[目次]



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -