良心なんて捨ててしまえばいいのに
愛している、という言葉ですら伝えられないだけの節度は持ち合わせているのです。
付き合っても無い男からいきなりそんな事を言われても困るだけでしょう。
彼女とはせいぜい一言二言世間話をするのが限界なのです。
そして、もしかしたら彼女にはもうすでに心に決めた方がいるのかもしれません
「何言ってるのさノボリ」
愚弟が呆れたように言いました。
「そんなの全部ノボリの思い込みでしょう?考えるだけ損だよ」
「ですが、私のその一言で彼女に迷惑をかけてしまったら、」
「なんでそんなに臆病なのさ!」
いいからさっさと玉砕してこいよ誰かにあの子をとられてからじゃあ遅いんだよ、とクダリは彼女に向かって私の背中をどん、と思い切り押しました。
(彼女にぶつかったら、どうするつもりだったのですか!)
なんとか体勢を立て直し、目をぱちくりとさせている彼女をまっすぐに見つめました。
「突然で申し訳ないとは思うのですが、私は、貴女様のことが、」
良心なんて捨ててしまえばいいのにね
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