世界の果てで愛を叫んだのは

窓際は一番後ろの席にもなると、教師の声よりも前横ななめのクラスメイトの声よりも、外の体育のいささか、やかまし過ぎる声が一番に鼓膜を震わせる。

ちらりと外を見ると、名も知らぬ輝くオレンジ色の髪の後輩が跳ね回っていた。
(「日向ー!こっちこっちー!」「おう!」)
分厚い教科書の影で私はあくびをひとつ。

前も見ても沈没者ばかりだ。そりゃあそうだ。あの先生の授業つまらないのだもの。だから彼みたいな、スガワラ君みたいな真面目な授業態度は純粋に尊敬してしまう。

(スガワラ、菅原?)
うろ覚えの彼の苗字をノートの隅っこに走り書きして一人悦にいる。悦に入ってからちょっと自分に引く。
(そりゃあねぇ)
教科書のページをぱらぱらとめくる。
今やっているのは面白くもない評論文であるわけだが、前に読んだ物語文を私は読み返す。
赤いマーカーで引かれたそのたった一行。
(恋は罪悪、ですもの)
この席は今この瞬間まるで世界の果てのようだ。

世界の果てで愛を叫んだのは



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