死んだように眠るだけ
おやすみなさい、神父さん。
綺礼が彼女の声を聞いたのはそれが最後である。
以来二ヵ月間彼女はすやすやと眠っている。
教会の中の、糊のきいた真っ白なシーツに包まれて彼女はまるで死体のようだ。
綺礼はそっと彼女の頬に触れる。ほのかに暖かい。綺礼はひそかに息を吐いた。
「死体愛好の気でもあるのか」
はっ、と綺礼が振り向くとそこには腕を組んだギルガメッシュがドアの脇にもたれかかっていた。
違う。と綺礼は否定する。ギルガメッシュはひとつ鼻を鳴らすとつまらんと消えた。
彼女は身じろぎもせずに横たわっている
死んだように眠るだけ
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