永遠を不可能にした刹那
実際それは私の中で起こった出来事であるので、物音などしなかったのだけど、ガラスでできた花瓶が割れるようにあっけなく、音を立てて崩れ落ちたように私には感じられた。
「そうだねたぶん、というかほぼ確実に、ボクはこっから遠くのところにいくと思う。」そのとおりに彼は遠くの街の名前を挙げた。
「そ、がんばって」
そっけなくなりすぎずに、とはいえ今しがた砕けた感情の欠片が混入しないように。
彼とこのまま永遠に一緒にいられるだなんて子供らしい幻想を、心のどこかで信じていた自分はたった今しんでしまったのだ。
ありがとう、と彼が無邪気な笑みを浮かべる。
ふいに、その彼の笑顔がぼやける。
うわ、どうしたのいきなり。彼があせっているのがわかった。
永遠を不可能にした刹那
[目次]