あなたがくれるものならば

彼が私に差し出したその小さな箱を反射的に受け取った。
「これ、なに?」
私が彼を見上げてきくと彼は爆弾、と答えた。ばくだん。私は復唱する。
爆弾。爆発物。
「だから開けちゃあだめだよ」
くれたのに開けちゃいけないなんて、まるで昔話みたいだけれど、彼は竜宮城の総元締めではない。わかった。と私はうなずく。
その箱はかばんが入っているというのにずいぶんと軽い。かばんにすっぽり入ってしまう。持ち運びだってできてしまう。

私はやたら混んでる地下鉄に乗って、普段行かないような大きな都市へ行った。
道行く人は私がかばんからそれを取り出したことに気がついていない。道の真ん中で立ち止まっているというのに
私は箱を開ける。箱の中には黒い機械が入っていて、そこからかちりと音がしたかと思うと、


あなたがくれるものならば



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