翳りのある指先
車内の蛍光灯の白い光が、彼の指や顔に陰影を作っていた。
組んだ指は細い。手袋をしているから詳しい形はわからないけれどきっと、女の私より指は細くてきれいなのだろう
そ、と彼は指をほどいた。その右手を私の方に少しだけ伸ばすものだから私は反射的にその指をつかもうとした。
彼が少しだけ目を見開く。じり、と蛍光灯がわずかに明滅する。彼と私の姿が向かいのガラスに映っている。
がたん、と電車は揺れる。もうすぐホームについてしまう。
私はひっこめた手をもう一度そろそろと伸ばした
翳りのある指先
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