泣きたくなる
押し殺されたように泣くのならばいっそ声を上げて泣いてくれてかまわないのだ、と俺はぼんやりと思う。
けれどそう言うと、きっと奴はこう言うのだ。
「男が声を上げて泣けるか。見苦しい」
ゲリラ豪雨とまではとてもいかないけれど、それなりに強い雨の中彼は立ち尽くしていた。
(そんなに悔しいものなのかね)
俺はあえて自分にもそんな問いを投げかける。答えは当たり前に決まっているのだ。だってそんなの。
(悔しくて仕方がないに決まってるだろ、そんなの)
いつのまにか真ちゃんは電話で誰かと話しているようだった。
あれがひと段落したあたりに彼に声をかけて、どうせなら、おいしいものでも食べに行こう。
泣きたくなる
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