痛みに歪んだ殺意
己の下で暮らし始めてしばらくした(というより魔力を供給され始めてから、というべきだろうか)あたりからは大分落ち着いたが、初めの頃はよく蟲が暴れていたらしく痛みでのたうちまわっていた。
ぜいぜいと喘ぐ合間に呼ばれるその名前は、自分のものであるはずもない。
ただ間桐雁夜がひたすらに憎んでいる人間の名だ。
「と、きおみ、」
その声音は酷く情事の最中のそれに似ていた。
例えば今この瞬間、彼に関する人間を自分がすべて殺して最後に彼のひどく細い首に手をかけたら、自分の名前を呼ぶのだろうか
痛みに歪んだ殺意
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