いつだって欲しがるくせに
主の自慢話を高笑いと共に聞くっていうのがわりと、好きだった。
「ケイネスさまはやっぱりすばらしい才能の持ち主ですね」
当たり前だ、というその表情が私は好きだった
「もちろんソラウ様のことも、私は好きよ」
ディルムッドは私がそうやって一方的にしゃべっているのを辛抱強く黙って聞いてくれていた。
「ねぇディルムッド、あなたがケイネス様の事を、どう思っているかどうかは知らないけれど、絶対に彼を守りぬいてね」
ある意味は私の同僚にあたる彼は、もちろんだと力強く頷いた。
(彼は多くをほしがるけれどやっぱり、死んでしまったらどうしようもないじゃないか)
いつだって欲しがるくせに
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