皮と肉の抱擁

惨めだ、と思ってしまった。初恋の人間に対してそう思ってしまった。

薄暗くじめじめした蟲蔵の中でひっそりと倒れていた彼を、私は抱き起こした。あたたかい。

けれどこれは決して彼の体温ではない。彼の中で動いている魔力の塊の温度だ。
彼が決して持ち得なかった、それの温度だ。

ぽたりと彼の髪に落ちたそれは、私の魔力で満たされた塩辛い味がする、
私は彼をそっと抱きしめた

皮と肉の抱擁



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テーマ「人外ファンタジー」
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