皮と肉の抱擁
惨めだ、と思ってしまった。初恋の人間に対してそう思ってしまった。
薄暗くじめじめした蟲蔵の中でひっそりと倒れていた彼を、私は抱き起こした。あたたかい。
けれどこれは決して彼の体温ではない。彼の中で動いている魔力の塊の温度だ。
彼が決して持ち得なかった、それの温度だ。
ぽたりと彼の髪に落ちたそれは、私の魔力で満たされた塩辛い味がする、
私は彼をそっと抱きしめた
皮と肉の抱擁
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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