快楽は鼓膜を食んでいく

相手のガブリアスがどしゃ、と重い音を立てて崩れ落ちた。

(勝った、のだ)

ざわざわと背筋に登る感触。けれどそれは決して不快な感覚ではなくむしろ一種の快感である。以上が一瞬のうちに私が感じたことだ。


あまりに短い時間であったのにそれは永遠のように感じられた

さっきまで視界を奪っていた砂嵐はもうすでに止んでいる。

二十連勝を告げるアナウンスが流れている。ぷしゅう、と音を立てて次の車両へのドアが開いた。

彼は待ちかねているに違いない。笑顔を浮かべて手招きしている彼の元へ、私はゆっくりと歩いていった。

快楽は鼓膜を食んでいく



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