安息を貪る寂寞のように


この部屋の中には何もない、と彼は低くそう囁いた。

「だから安心して暮らしたまえ」

確かにこの部屋――どこかの屋敷の一室なのだろうが――には何もなかった。少なくとも私を脅かすものは。

時々教会から彼の声が聞こえてくる。私は耳がいいのだ。少々よすぎるくらいだ。

それ嫌でここに、こもっているのだ。

君は本当に彼を信じるのかい。


そう、優しそうな男の人の声が聞こえたけれど私は無視してかたく目をつぶった。


安息を貪る寂寞のように




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