不毛な舌打ち
なんだってんだ。青峰は舌打ちをする。
こちらとしても泣かせたかった訳じゃない。青峰は自分の顔が強面であることを知っている。(幼馴染の彼女に散々言い聞かせられたのだ)
それだってあんな顔をすることはないじゃあないか。自分は、だってそりゃあ黄瀬みたいに相手に気に入られるようなタチじゃあない。それにあんな顔をさせたのは、今まで自分が散々積み重ねてきた行いの結果だ。
(けどよ、俺だって、好きな先輩にあんな顔させて喜ぶ程変態じゃねえんだよ)
せめてあのとき、彼の腹に蹴りを入れる直前に戻れることができるのなら。
そう考えて青峰はもう一度舌打ちをした。
不毛な舌打ち
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