肌を撫でる永遠
がたん、ごとん、とかすかに伝わる振動が心地よいと傍らの彼に言ったら彼はうれしそうな顔をしました。
緑のラインが入ったその電車はどうやらいつもと違ったルートを辿っているようでした。
しかしどうやらあの小さな愛すべき車両の寝床にも向かっていないようでした。
「どこへ行くのですか」
彼にはじめてそう問いかけたのですが、彼にも行く先は分からないようでした。
いっそ永遠にこのまま進んでいくのかもしれません。
けれど私の心を満たしていたのは不安ではなく、安心感と幸福感だけなのでした。
肌を撫でる永遠
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