崩れ落ちた歓喜
彼が今日の試合に勝ったら告白しよう、と私は決意したのだ。
ちょっとした願掛けやジンクスのようなものだ。それに、彼が負けるなんてありえない。だって彼らは強いのだ。
雨が天井を叩く音が聞こえた。
(なんてことだ)
彼らが――しかも接戦の末――負けるだなんて。私は呆けたような顔で観客席に座っていた。
やっと立ち上がったのはずいぶんと経ってからである。もう皆帰っているだろう。
そう思い私は、まだ雨の降っている外へ出たのだ。
すると油断していたのだ。声を上げそうになってしまった。
(緑間、くん)
雨の中ぼんやりと見えたオレンジの影は見間違えるはずもない。彼だ。
私の願掛けは失敗したのだ。自分も豪快に濡れそぼりながら私は家路を急いだ。
崩れ落ちた歓喜
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