贅沢なくちびる
「青峰くんは胸で女子をランク付けするさいてー野郎ですが」
「喧嘩売ってんのかテメェ」
「なのになんで私とお付き合いしているのですか」
ぴたり、と私に掴みかかろうとした手を彼は止めた。
「あっちなみに胸部の将来性を信じてなんて答えを返そうものなら張り倒して泣き出すんでそのつもりで」
「俺を社会的に抹殺する気か!」
よくそんな難しい言葉しってましたねぇ。あまり馬鹿にすんなよお前。
がしがしと彼は頭を掻いたあと、ぼそりと呟いた。
「くちびる」
「唇?」
なんかうまそうに見えた。なんて野生丸出しの台詞を言って彼は走り去って行った。逃げたな。小学生か。
「……ううん、お礼を言うべきだろうか」
顔の火照りが引いたら、でいいかなぁ。
贅沢なくちびる
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